今日は初めて会う祖母の姉を老人ホームまで送迎。
御年92歳。達者そのもの。

わがままで、我の強い我が血筋の先輩。

しばらくお世話をしていたおばさんが、もう限界ということでホームに入ることに。

老人ホームは独特の雰囲気。

たまに僧衣で伺うことがあるが、今日はジーンズにTシャツ。
スタッフの明るい挨拶が印象的。

荷物を運び終わると、近くの神社に一人散歩。
地元の神社だが、そういえばあまり神社には行ったことがない。
今日は、神社の空気をじっくり感じてみた。
最近、場所や配置に関心があるので、この神社の空間がどのようにつくられているのかを見ていた。
こういう見方で神社を味わうのも新鮮だったし、とても興味深い発見もあった。

ホームに戻り、長い廊下を歩く。
僕の数十メートル前を、一人の老人が歩いている。
その光景に、はっとした。
老人はふり返り、部屋に入った。
長い廊下の前方にはもう誰もいなかった。


昼食は隣町の中華料理店へいった。
10代の頃、バイトしていた店だ。
今も変わりなく、大将が黙々と働いている。
味も変わっていない。
やっぱりここの中華はうまい。

それから隣の喫茶店でアイスコーヒーを飲みながら親族からの連絡をまった。
隣町のこういうローカルな雰囲気は落ち着く。
入れ替わり入ってくる、いろんなお客さんを眺めていた。
それぞれの生活や人生なんかも勝手に想像してみた。
今なら誰にでも優しくなれそうな気がした。

誰も僕を知らない街で、平日の昼下がりを過ごすのが好きだ。

それから近所を散歩した。
なんだか10代後半の気分が戻ってきたようだった。
あの頃感じていたセンチメンタルを、懐かしく思い出した。

おばさんから連絡があり、家まで送っていった。
その間、ずっとおばさんは愚痴をこぼしていた。
半年面倒をみたそうだ。
今日晴れて解放されたのだから、いつものおしゃべりに輪をかけて話し(放し)まくっていた。
80歳のおばさんが92歳のおばあさんを介護する苦しさ。
恨み辛み、ドロドロな人間模様。
どれだけ愚痴っても、嫌みのない人。
かわいい人だ。

家に送ると、いつものようにお菓子やら洗剤やらたくさんの土産を持たされる。
僕が子どもの頃から変わらぬ風景。
帰りはいつも大荷物だ。

帰りの車中、酷い疲れに襲われた。
重たかったんだろうな。
窓を開けて、歌を歌った。

夕方から土砂降りになった。
何故だかとても嬉しかった。

電話があった。
京都駐輪所からだ。
どうやら友人が名刺入れを落としたらしい。
その中に僕の名刺があって連絡してきたようだ。

友人に電話し、先ほど名刺入れを受け取ったとのこと。

夕べは武道の仲間の送別会で飲み過ぎたので、
今日は水ばかり飲んでいた。

いま、いくらかの事務作業を終えて、眠ろうとしている。

雨も上がり、風も涼しい。

今日は、何者でもない一日を過ごせた気がする。

「僕」というものを挟まないほうが、世界は面白いのだなぁと思った。

自分の思い描く時間ではなかったが、その方が新しく、リアルだった気がする。

普段、自分でがんばってることって、ひょっとして無意味なのかもしれない。

喫茶店で見た人たちが、何だか別の世界の人たちに感じた。

まだ、頭が痛い。

さて、水を飲んで寝ようとするか。

おやすみなさい。

今日は、長期の旅行をしたようです。

また明日。